忘れた頃に

自分の所属政党を「ぶっ壊す!」と叫び、郵政民営化を唱え、「刺客」と呼ばれる候補者を各地に立てて選挙に勝った政治家がいました。爾来、郵便事業は民間企業になりました。あれから10年ー働き方改革と称して、土日祝日の配達を止め、翌日配達を止め、その結果、郵便物の到着予定は全く読めなくなりました。月火水の中に投函しないと、到着は速くて翌週になる。消印有効、で書類を受領する側は負担が大きくなりました。

4月26日広島局消印のレターパック(青い方です)が我が家に着いたのは、30日でした。本局へ行って、ふつうレターパックは翌日着じゃなかったかと訊いたところ、26日の遅い時間に投函していたら、29日が祝日なので30日になるとの返事。5月2日に本局から広島宛てに普通郵便を出し、窓口でいつ着くかと訊いたら、連休明けの6日だが、今混んでいるので9日になるかもしれない、と平然と言う。連休明けに混むのが分かっているのなら、それ相応に対策をとるのが商売、つまり民間企業ではないか―郵便は忘れた頃にやってくる、てか。

呆れて怒る気にもならない、と窓口を離れましたが、民営化とはこういうことだったのでしょうか。国鉄、煙草専売公社、電電公社・・・当初は殿様気分が脱けないと批判されながらも次第に変身を遂げてきたように思いますが、郵政は根本的な態勢の立て方に問題があるのでは。かんぽ、ゆうちょのセールス不正の始末も釈然としないことが多いし、むやみに広い作業空間をそのままに非効率的な仕事をしながら休日だけ増やす、というのも納得がいきません。銀行の中には、店舗の空き空間を有効利用しているところもある。

何より日本郵便の最大の資産は、全国津々浦々に張り巡らされた配達網と、「ゆうびんやさん」の名で親しまれた信用でしょう。旧い事業(年賀葉書の大量販売など)を整理して、地方再生、高齢社会に対応する新事業を始める気概はないのでしょうか。