源平の人々に出会う旅 第64回「市川市・千葉県の頼朝伝説」

 治承4年(1180)8月、石橋山で惨敗した頼朝は船で房総半島に渡り、千葉一族を味方に付けて再起しました。安房国から上総国を経て下総国に入ります(『吾妻鏡』)。そのため、下総国府(市川市国府台)周辺には頼朝伝説が点在しています。

【白旗天神社】
 市川市で有名な頼朝伝説地は葛飾八幡宮ですが、そこから1km弱の菅野地区にある白旗天神社は、頼朝がこの地に白旗を掲げたことことから名付けられたとされています。

 

【宮久保白旗神社
 白旗天神社の北東の宮久保地区にある白旗神社は、室町時代の創建とされていますが、名前の由来は、やはり頼朝が白旗を立てたことによるとされています。


【袖掛け松】
 白旗神社の入り口に袖掛け松の碑が建っています。複数の伝説があるようですが、頼朝が衣を掛けたとも伝わっているようです。
 下総国府を出た頼朝は、古墨田川に向かいます。大河ドラマで話題となった上総介広常が頼朝と初めて対面したのはこの時です(『吾妻鏡』同年9月19日条)。軍勢が膨れ上がった頼朝は、古墨田川を渡って武蔵国に入り、鎌倉へ向かいました。


〈交通〉
京成電鉄京成八幡駅
     (伊藤悦子)