コロナな日々 25th stage

マスク生活が長くなり、表情の見えない、性別や身体の大きさだけが第一メッセージである人間の群像が歩く街に慣らされてきました。しかし現場で働く若い人たちは、それなりに「新しい行動様式」を身につけてきたようです。

池袋の街で道を尋ねた時、若者が真っ直ぐに私の目を見つめて会話をしたのに、ちょっと意外感がありました。外国人かな、と思ったほどです。しかしその後、返し忘れたアダプターを届けに来た若い店員も、マスク越しに真剣な目で私を見つめ、こちらの不手際で、と挨拶したので、マスクの街のマナーなんだ、と理解しました。

オンライン会議初体験の日、なぜか端末がフリーズし、慌ててガラケーやら旧端末やらを使って連絡を取り、やっと会議室に参入出来た瞬間、担当者が画面に向かってマスク越しに笑顔を作り、ああ目だけでも嬉しさは伝えられるんだ、と思いました。指や腕で輪を作るサインもありますが、無言の笑顔の方が真実味はずっとつよい。

スーパーの帰り、重い袋を提げて用心しいしい歩いていたら、追い抜いた老婦人から振り向きざま、腰がおつらいの?と声をかけられました。むっとしました。こんな所でそんなことを訊いてどうする!こちらは1歩でも前に進みたい。足を怪我したことのある人には分かると思いますが、一定のリズムで必死に歩いているのに、急に停まったり速度を変えたりするのはとても危ないのです。それにー何と、彼女のマスクの中央やや左には、模造真珠のピンブローチが留められ、ぶらぶら揺れている!(本真珠だったかもしれませんが、ああいう使い方をすると模造にしか見えない。古い洋館にあるような、水洗のハンドルを連想しました)。鼻ピアスか唇ピアスの応用でしょうか。思わず、ご心配なく、毎日これでやってますんで、と返事しました。