寝屋川

福田晃さんが9日午後2時に亡くなった、との報が届きました。

福田さんと知り合ったのは、軍記・語り物研究会(当時は軍記物談話会)の席上だったと思います。元気な方でした(それは90歳目前でも変わりませんでした)。そして学閥に関係なく若手や在野の研究者とつきあって、精力的に仕事をする方でした。伝説は数限りなくありますー真夏のフィールド調査の後、一行と午前2時まで呑んで翌朝、若手が目を覚ましたら、もう机に向かってパワー全開だったとか、制限時間25分の学会発表にB4で21枚の資料を全て読み飛ばしたとか、韓国へフィールド調査に行き、呑んだ後タクシーを拾い、「寝屋川(御自宅の住所です)へ行ってくれ」と言ったとか・・・

神道集や曽我物語の研究、馬飼伝承や百合若伝説など広く国内・海外の民俗学的研究で大きな業績を挙げ、『唱導文学研究』『幸若舞曲研究』などのシリーズに結実した研究会活動は永く、その中で育てられ、また薫陶を受けた人たちは膨大な数に上るでしょう。

私にとっては、歴史社会学派や柳田民俗学に惹かれながらも、「民俗学には時間がない」ことに悩んでいた時、福田さんの「頼朝伊豆流離説話の生成」(S41/6=1966)に出遭った感激は忘れられません。ここには民衆の心情を汲みつつ歴史的時間に組み込む成立論がある。その後も福田さんは次々に大著を出されましたが、この論を収めた『軍記物語と民間伝承』(岩崎美術社 1972)こそ名著だと、私は思っています。 合掌。

【通夜】2022年1月12日(水)18時30分~
【告別式】2022年1月13日(木)12時30分~13時30分
 いずれも式場は、寝屋川玉泉院 TEL:072-828-4242
https://www.keihango.co.jp/gyokusenin/hall/