信濃便り・初冬篇

長野の友人から、軽井沢から撮ったという浅間山の写真が送られてきました。

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浅間山

浅間山は長野県人にとって、ふるさとの山です。もっとも松本、諏訪、天龍川流域の伊那や飯田の住民にとっては、いささか遠いかも知れませんが…】

数日前、気象衛星が撮影した日本列島中央部の画像が天気予報で紹介され、富士山と3大アルプス、そして浅間山の冠雪が白く浮き出ていました。浅間山は2568m、日光の男体山は2486mですが影も形も写っていません。なるほど故郷の山と呼ぶのに相応しい貫禄です。それぞれの地にそれぞれ故郷の山があり、鳥取では大山(だいせん)、湘南では大山(おおやま)が、故郷の山といえましょうか。

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茱萸の実

【近所で、春先に小さな黄色い花をつける山茱萸に、赤い実がたくさん生っているのを見つけました。先月、植木屋が剪定して枝ぶりもすっきりし、ルビーのような色が引き立って見えます。】

写真では目を凝らさないと実が見えませんが、もともと茱萸(ぐみ)に似ているので山茱萸(さんしゅゆ)と呼ばれる木です。実は漢方薬にするらしい。青く澄んだ空、古木らしい枝ぶり、そして立派な瓦屋根の載った塀は、まさしく城下町の初冬の景色です。

宇都宮大学はキャンパスが百年近く移転していないので、栽培・自生、さまざまな樹木が伸び伸びと育っていました。あまり人の行かない構内の奥に、みごとに枝を広げた山茱萸の木があって、春先は観に行くのが楽しみでした。気づけばバス通りからも塀越しによく見える位置だったのですが、学生たちは殆ど知らなかったようです。今も元気で咲いているのでしょうか。樹木は、古い知人のように懐かしく記憶に残るものです。