豊後便り・小鹿田篇

紅葉狩りに行く途中で陶器の里に迷い込んでしまった、と豊後便りが来ました。

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小鹿田の窯元

【日田市の「ことといの里」から英彦山神社の紅葉を見にドライブし、小さな集落にさしかかったら突然道が狭くなり、対向車がきたのでバックで集落まで戻り、対向車を運転してきた人に尋ねると、離合出来る場所はない、とのこと。「離合」という交通用語は初耳、すれ違えないという意味だろうと見当をつけて、そこで引き返すことにしました。ネットで調べたら、九州でのみ使われる用語(交通ルールにもローカル語があると知ってはいましたが、実際に体験したのは初めてです)。

 さて、その集落をよく見ると、なんと「小鹿田焼」の窯元ではありませんか。一度は行きたいと思っていた小鹿田に偶然着いてしまっていたのでした。わずか9軒の釜元がひっそりと暮らすのどかな集落でした。実に悠然とした時間が流れる、別天地のようで、行けてよかったと思いました。】

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小鹿田焼

小鹿田(おんた)は私も行ってみたい、と以前から言っていたので、小さな陶器を3つ、お土産に送ってくれました。「すべて手作りで、一つとして同じものはないので、よさそうなものを選ぶのに難渋しましたが、窯元で直接買ったというのがミソです」とメールにはあります。飛鉋(とびがんな)の小皿と猪口、バーナード・リーチ好みのぐい呑み。厚く掛け流した釉薬が欠けて、一部地肌の出ているところが窯元で買った証拠。さっそく鍋で煮て冷まし(民芸窯の陶器は煮沸して、そのまま冷ましてから使うのが我が家の流儀)、仏壇に上げました(久々に我が家に新規参入した陶器なので)。

小皿に刺身、ぐい呑みには浅利の佃煮を盛り、小盆に載せ、猪口で晩酌を楽しみました。小鹿田焼は、もともと福岡の小石原焼から影響され、地域限定で伝統を守っている窯です。親が講釈してくれた時は片耳で聞き流し、今になってネットで調べ直しました。