仏壇孝行

多ヶ谷有子さんから、手作りの干し柿が送られてきました。庭先の柿の木の落果が激しくてはらはらしていたが、思いがけず沢山収穫できたので、とのこと。飴色に、ほどよい手触りに仕上がっています。さっそく仏壇に上げました。長野の友人の手土産、赤と黄と2つの林檎も上げてあります。数日前には、友人から豊後土産の小鹿田焼の小皿と猪口が届いたので、(郷里の焼物ですから)それも一旦仏壇に上げました。

昨日までは郁子の実を上げておいたので、洋梨やオレンジと紫がよく似合い、絵を描く趣味のあった父は、楽しめたのではないかと思っています。母方の本家の嫁さんが法事の際に、かつて住んでいた茅ヶ崎海砂を小さな袋に入れて配り、それも愛用の書見台に載せておきました。

もう一つ書見台に載っているのは、父のメモリアルファンド奨学基金初期の卒業生の著書です(会田大輔『南北朝時代中公新書)。基金も来年度で20年目、そろそろ40代の働き盛りが、人文社会学系の多様な分野で活躍し始めました。

我が家は紙の多い室内なので線香も蝋燭も上げず、いわゆる仏供用の干菓子も上げませんが、退屈はさせてない、と思っています。皆様のおかげです。

褒める子育てが今の流行りのようですが、親から褒められた経験は殆どありません。親族に対して「あれは根性もんだけん」、と言ったことがあったと聞かされたのは、没後暫く経ってのことでした。いちど、酔った勢いからか「知情意のバランスが取れてる」と紹介されたことがありますが、相手はバーのママさんでした。

親子はすれ違うもの、というのが我が家の家風です。「後からしみじみ思うもの」は、青春時代の夢だけではない。