ソウルフード

三河育ちのエノキさんから、作ってみました、と芋饅頭を1個、貰いました。さつまいもをざくざく賽の目に切って、小麦粉を混ぜ、蒸したもの。郷里のソウルフードだそうです。そう言えば、名古屋に勤めていた時店先でよく見かけましたが、甘藷と粉を混ぜてふかしたとなれば、戦中戦後の代用食そのままじゃないか、と在名時代は到頭手を出しませんでした。

エノキ謹製の芋饅頭は、お洒落なケーキカップに載っています。今どきは粉も芋も美味しくなっているはずだから、と恐る恐る試食。うむ・・・薄甘い芋ともっちりした粉の部分と、少し残してある芋の皮のしゃきしゃき感がほどほどにマッチして、さすがに代用食感はない。美味しかったよ、と御礼を言いました。

名古屋にいた時は、飛騨高山の朴葉寿司という商品がスーパーにあり、量的にちょうどいいので、昼食によく食べました。酢飯に漬物の微塵切りを載せて、朴の葉で包んだだけですが、ローカル色豊かな、一種のブランド名に釣られたのでした。

地方暮らしのコツは、その土地のソウルフードに慣れること。またB級グルメや開発食品を試すこと。東京のレストランと比べてうまいまずいと言っている間は、よそ者でしかない。名古屋には8年暮らしましたが、手羽先とか味噌煮込み饂飩とか、ひつまぶしとか、名物は美味しいと思ったものの、芋饅頭にはようやく今日出会えたことになります。

今頃は、並木が美しく紅葉していることでしょうか。何故か名古屋の並木には、ケヤキやトウカエデ、サクラ、ナンキンハゼなど秋に紅葉する木が多かった記憶があります。今年の東京はミズキが綺麗に紅葉し、四半世紀前のあの街を、ふと思い出させます。