アイスランド便り・サガ篇

安宅正子さんから、夫の親戚を訪ねてアイスランドを1周中、との第2信が来ました。

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シングヴェトリル国立公園

レイキャビクを離れるとどこに行っても大自然です。山には木が無いので、山肌に雲の影が映って、山の色が1日のうちに変化するのも面白いです。伝統的に羊の放牧が主産業なのですが、広大な土地を所有していても、実際は貧しいようです。農家1軒ごとに牧場の名前がつき、道案内に出るほど広いので、小学校から寮生活させるくらい学校が遠い地域もあるそうです。】

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万年雪の残るスナイフェル山

アイスランド人の10人に1人は、本を書くと言われています。義理の父も本職は羊毛に関する統計を取る仕事でしたが、子供用アイスランド史の本、探偵物、アイスランドの草花・動物などのシリーズ物を書いています。家族の中には詩人も何人かいます。面白いのは、その人たちの本職が漁師だったり猟師だったりすることです。アイスランド語ノルウェー語から来ていますが、ノルウェー語に比べて変化が遅く、サガを古文の知識無しで現代人が読めるらしいです。義理の父はラプケルスサガの起こった地域の出身で、夫は子供の時に、お父さんと一緒に大学の研究者を案内してサガの舞台を歩いたそうです。サガは私も大学で、英語でですがちょっと囓りました。(安宅正子)】

我が家にも北欧叙事詩サガの本があったなあ、と探し出しました。平家物語叙事詩の関係を勉強しようと、世界中の叙事詩に関する本を片端から買っておいた時期があったのです。本文の伝承、語り、合戦記述と英雄像などに関心がありましたが、結局、時代も地域も成立事情、伝来の経緯も異なる作品を、ただ並べて比較しても意味がないという気になり、ツンドクのままでした。昭和40年代、エッダやベーオウルフ、北欧神話と伝説の概説などです。どの本も活字が細かいのに驚きながら、めくっています。