ゼミ会オンライン

35年前、横浜の女子大で教えたゼミの卒業生たちが、WebExで懇親会を開きました。非常勤講師の9年目に卒論指導と今昔物語集の演習を受け持ち、若かった私はごく普通にやっている心算でしたが、彼女たちは容赦ないツッコミに衝撃を受け、そのうち「あれがだんだん快感になってきた」と事務室へ行って話したらしい。専任教員からは、禁酒禁煙禁男を厳しく申し渡されていましたが、歓迎会へ行ったら、ちゃんと紅白のワインが用意されてあって、以降、秘密を共有した仲になりました。

2学年5名の参加です。それぞれ境遇は違いますが、みんなめいっぱい背負えるだけ背負ってがんばってる、という感じでした。1人は小学校の支援員で週5日出勤、障害児2人の世話をしているとのこと。普通学級に混融された特別支援教育の現実には、悩むことが多いそうです。1人は理系の研究所付属図書館に勤めているが、この春職場がハッカーに遭って電子ジャーナルその他が使えなくなり、デスクトップPCを自宅へ持ち帰ってリモートワーク中、未だに接続の修復は完了していないそうです。現在は専業主婦の傍ら、地域の高齢者向け体操や音楽会の世話をしている、体操指導の映像をSNSに載せる試みも始めた、という人もいました。

孫のいる2人は、親の介護に追われているそうです。1人は車で40分の距離に両親、もう1人は遠隔地に母親が暮らしていて、アレクサを使ったり、肉親だと思うと感情的になりがちなのでヘルパーに徹する決心をしたり、と工夫しているようです。介護保険の話、特別支援教育の話、電子世代との情報落差の話、対コロナワクチンの話・・・3時間以上話が続きました。まもなくみんな還暦、私は傘寿。美味しいものを囲んで祝賀会をやりたいね、と言って退出しました。いつの間にか台風の雨はやんでいました。