今後のこと

週1回、家事代行を頼むエノキさんは40代、友人の多い人です。SNSでいろいろな業種の人とお喋りするらしい。その1人に大手企業の30代男性がいて、コロナでリモートワークが始まってから新入社員がどんどん辞めていき、40代の休職が増え、その対策会議に逐われている、と言っていたそうです。苦労したはずの就活を水の泡にして今後どうするんだろう、と2人で話したのですが、私にはさらに不安が広がりました。

コロナが終息したらと、これまでに幾つ約束をしたことでしょう。何によったとしても、マスクを外して自由に出歩ける時が来たら、おおよそ、もとの社会に戻ると、誰もが無意識の裡に考えていますよね。新しい生活様式なるものが多少は影響し、デジタル化があちこちで進んだとしても、経済も微増ながら上向きになり、不服はあっても勤労や修学の場は確保されると。

しかし、ひとりでにそうはならないのではないか。ウィズ・コロナが2年も3年も長引き、堪えきれずに若年層が定職を手放し、高齢者はフレイルが進み、医療制度が荒廃して、セーフティネットも疲弊してしまう・・・いま目の前の危機を越えることだけに集注しているうちに、社会構造そのものに関わる変化が進んでしまって、その修復に何年も、いや何世代もかかるかもしれない。行政や社会・経済学の方面には、そういう長いスパンでコロナ後を考えている人たちがどれだけいるでしょうか。

さきの大戦中、戦況に一喜一憂する人たち、真実を知らず神国日本を信じて日々の暮らしに逐われる人たちをよそに、かなり早くから戦後の復興のための人材を確保する動きがあった、という話を読んだことがあります。勿論、無言の人事です。いま五輪準備に右往左往している政府の中に、5年先、10年先を見据えている人はいるでしょうか?