ジン

父方が博多出身なので、銘茶は宇治の次が八女だと思っていました。日本酒も黒田藩の膝元ゆえ名産地だと思っていたのですが、若い頃、独り旅の車中で灘の蔵元の人と乗り合わせ、福岡へ増量用の酒を買い付けに行くのだと聞かされて、落胆しました。

昼休みにNHKの番組「サラメシ」を視ていたら、福岡の酒造会社が八女茶をジンにブレンドした話が出てきました。ジンは強くて独特の香りのする安酒、何かの機会にカクテルで味わうもの、と思っていましたが、調べてみると、西洋杜松(ジェニパーベリー)の実を使えば、そのほかは自由に植物性の香りをつけていいのだそう。21世紀に入って新たに英国で流行し、日本でも需要、輸出が増えたという。

そう言えば、ジンは針葉樹の匂いがしました。さらに検索すると、それらしき酒造会社のHPが見つかり、日本酒や焼酎も出している。化粧水のような瓶に入った日本酒もあります。番組によれば、去年のコロナ自粛でクラフトビールが売れ残り、それを転用して消毒用アルコールを造って売りさばいたが、呑んでみたら(えーっ、アルコールも試飲したの?)結構美味しかったので、ジンの原料にすることを思いついたのだそうです。オンラインショップに出ていた説明では、米焼酎・粕取焼酎・煎茶・玉露・柚子皮・デコポン皮・あまおう・梅酒に漬けた梅・山椒をブレンドしたとあります。

COVID19で打ちのめされた業種は多いでしょうが、こうして開発力で乗り越える組織もある。番組は、社員の昼食時に飛び交う、商品開発をめぐる会話を取材していました。

ちなみに、中井貴一の軽快な語りが楽しいこの番組。「あの人も昼を食べた」というコーナーが素敵で、NHKに出るなら、「プロフェッショナル」か、このコーナーかに出演したかったなあ。でも後者は、死後でないと出られないんだっけ。