戦国時代

本ブログには広告がついてきますが、珍しく國學院大學の広告がついたのでクリックしてみると、「國學院大學メディア」という教員によるコラムを並べたサイトに到達、中でも矢部健太郎さんの3回連続「ゼロから学んでおきたい「戦国時代」」の頁(2020/05)が有益。戦国時代といえば、戦乱と裏切りに明け暮れ、国土は荒廃し、民衆は恐怖に逃げ惑う時代だったと思われがちだが、じつはそうではない、というのが主旨です。

15世紀半ばから17世紀初頭まで(最も長く取れば永享の乱1438年から元和偃武1615年まで)を戦国時代と考えると、この170年間はイノベーションの時代だった、と矢部さんは言います。日本の人口は12世紀末600万、16世紀末には1200万になった、各国の大名たちがそれぞれに富国強兵に励んだからであるという。食料生産を増進し、生産力向上と共に人口が増え、経済活動が活発化した。貨幣が普及し、商業活動が盛んになって富の集中も起こった。二毛作が広まり、土地によっては蕎麦も作られ、稲作だけでなく地域の特産品として商業農産物が開発され、木綿が普及し、鉱山開発や土木技術も進んだ、と指摘します。

合戦は南北朝以降では個人戦から集団戦となり、戦国期には兵農分離が始まり、農繁期に突然徴兵されたりする非道は減ったのだそうです。南北朝が文化的、価値観の上で古代からの離脱期だったとすれば、戦国時代は経済的、生活の質の上で近代への入り口だったかもしれません。

戦争が社会を進歩させる一面を持つことは、よく言われることです。近代の戦争は女性の社会進出、国土交通の開発をもたらしました。払った犠牲は大きすぎますが。戦国時代は政治だけ見ていても分からない、と言う矢部さんのコラム、特に(中)がお奨め。