信濃便り・旧暦篇

長野の友人から写真つきメールが来ました。6日のアヤメ、ではなく旧暦の行事です。

【5月2日に20匹の鯉が木々の間につるされ、泳ぎ始めました。長野は雛祭りも端午の節句も旧暦で祝うのですが、ゴールデン・ウィークに華を添えるため、早く揚げることになったようです。コロナ禍のため昨年は休館となり、中止となってしまいました。今年は常山邸保存会だけによる、マスク着用、消毒徹底の上での作業となりました。しかしひとたび空に揚がった鯉幟は悠々と泳ぎ、家族連れでやってきた子どもたちはひらひら舞う鯉のしっぽに触ろうと駆け回っています。

中央に見える赤い点々はシャクナゲです。今年は開花が早く、すでに若葉の季節になってしまいました。】

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山寺常山邸の鯉幟

ほんとに今年は季節の進むのが速い。もう、九州南部は梅雨入りしたと天気予報が言っています。東京でも楠の若葉と椎の花が盛りを過ぎ、大輪の躑躅は4月の中に終わってしまいました。我が家でも菊やロベリアが伸びすぎて、植え替えが追いつきません。

子供の頃は旧暦と新暦とが入り交じって、季節の行事はいちいち「どっちでやるの?」と尋ねたりしました。今でも米子の雛祭は旧暦だし、東京でもお盆だけは旧暦、という家も多いようです。「五月晴」という語は本来、今頃の爽やかな晴天ではなく、梅雨の合間の貴重な晴天のこと、その喜びの感覚が現代人にはない、という人もいます。

あと何回、旬を楽しめるか、と思う年齢になりました。季節を追いかけてでも楽しまなくっちゃ。衝動買いした山椒の実は、まず大粒の牡蛎と一緒に煮たのですが、薄味では風味が生きてこない。鶏挽肉と共に濃い味付けで煮ました。美味でございます!白ワインが合う。今夜は小さないりこと共に素揚げしてみよう、と考えています。