経済欄

父を亡くしてから、新聞の経済欄を読むようになりました。社会変動の見通しや家計の判断根拠を、自前で持たなければならなくなったからです。実際、経済紙系のTV(日本のTV局は、ラジオ局と映画会社と新聞社の合同で発足した)のニュースコメントは、(好き嫌いは別として)合理的な場合が多い。勿論、素人ですから分からないことばかりですが、努力して読みます。

朝日新聞の金融情報欄に、匿名による800字前後のコラム(「経済気象台」)があります。経済学者、大企業の管理職、中小企業の経営者などが日替わりで執筆していて、たまには業界の我田引水が鼻につく時もありますが、概ね共鳴できる提言が出されます。1月9日には、「2021年に希望があるとすれば、それは政府が賢い政策を実行する」か否かによるとして、労働需要が縮小する業種から、人手不足・人材難の分野へ人を移すことで経済が回り始め、閉塞感も和らぐだろう、そのためのスキルや資格習得への支援、ジョブマッチング情報の提供、現場に必要なスタッフを確保できる財政支援などをすばやく進めることが求められる、とありました(署名は「山人」)。

たまたま同日の経済欄には、「おてつたび」というベンチャー企業のCEOへのインタビューが出ていました。人手不足で困っている地方の観光業や農業に人を送り、1週間から10日ほど手伝って貰うマッチングサービスだそうです。報酬と宿所は用意されるがフルタイムで働かなくてもいいのだそうで、これをきっかけに、地方での就業や定住を決めるケースもあるとのこと。そうならなくても、再訪し、またその特産品を買いたくなるような地域を、出身地と居住地以外に持つことの豊かさを語るCEOは、30歳の女性。素晴らしいアイディアだと思いました。ひところ流行ったワーキングホリデイの国内版です。地方創生だの働き方改革だのと仰々しい音頭を謳うより、まずは実行。