檀家の断捨離

ウェブ上で、檀ふみさんの断捨離に関するエッセイを読みました(婦人公論.jp)。ふみさんは女優として有名ですが、エッセイの腕もなかなかのもの。温かいユーモアとオチの巧みさには感心させられます。

お父さんの蔵書1万冊とお母さんの着物・端布類、放浪癖で有名だったお父さんが世界各地で買い集めてきた郷土玩具や、50人規模の客に手料理を振る舞っていた食器類(『檀流クッキング』は美味、豪快、重宝なレシピ本です)など、それぞれに家族の思い出が詰まっていて捨てられない。私も親の家を片付けるのに同様の経験をしました。

じつは彼女のお父さん檀一雄と亡父は同郷で、高校・大学(学部は異なる)の同級生でした。一雄は福岡の柳川出身、父は博多出身ですが、どちらも同じ頃に愛妻を結核で亡くし(『リツ子その愛』『リツ子その死』は絶唱です)、長男の太郎さんは私と同い年です。我が家にとっては、いわば父の「悪友」でしたが、父が大事にしているお付き合いであることはよく判っていました。真夜中の2時に電話がかかってきて、明日、胃の手術をするので今夜は徹夜で呑んでる、お前も来い、と言われ、堅気のサラリーマンだった父は、逃げ切るのに苦心していました。

私も、石神井のお宅にお邪魔したことがあります。誰が誰かも判らない、大勢の男性客ががやがや呑んでいて、檀さんは私に擂り鉢を抑えさせて、鰯のつみれを作りました。豆腐屋の店先で一目見れば、昨日の豆腐か今朝の豆腐かは判る、という話も聞きました。区画整理のために敷地が半分になってしまったが、父母の思い出のある木々を伐りたくないので越さない、というふみさんの気持ちはよく判ります。木立の茂った庭がありましたっけ。今頃は紅葉が始まっていることでしょうね。