蜂たち

雲一つない小春日和。貴重な晴天です。敷布を洗って干し、ふと見ると、侘助の葉に大きな昆虫が止まっている。体長3~4cmはありそうで、腹部は黄色が目立つ虎縞です。ゴキブリほどもありますが、どうやらオオスズメバチらしい。居着かれては厄介と、割箸で挟んで遠くへ放そうとしましたが、逃げられました。こわごわ見ている内に青空へ飛び出して行ったので、胸を撫で下ろしました。

定時にやってくる小さな蜂もいます。昆虫にも記憶があるのでしょうか、菊の咲く頃に毎年通ってきます。ごめんね、今年は未だなんだよ、と呟きながら、蕾の大きくなった菊の鉢を、目につくところに移しました。仁丹粒のように光る小さな蕾が、やがて青蜜柑のような形になり、薄皮を破って花弁が覗き始めているところです。あちこちから小枝を失敬してきて挿し木した菊ですが、黄菊は咲き始めは赤みを帯び、咲き終わりには紫色が差します。嵯峨菊や臙脂色の八重も挿し木して、2年くらいは咲かせましたが、次第になくなり、黄菊白菊、シンプルな品種だけが残りました。

吊り鉢で育てた西瓜の果実はゴルフボール大になり、もう甘く煮るには向かないと判断して、切ってみました。緑の表皮、白い果肉の中にちょっぴり、ピンクの丸い部分がある。考えた末、ちょうどブロッコリーの茎の醤油漬を作っていたので、一緒に漬け込み、1昼夜経って試食しました。美味でございます!ほのかな香りと甘みがあって、お奨め。三河出身のエノキさんは西瓜を懐かしがり、来年は試してみると言っています。

午後、編集者にゲラを1束渡しました。ツンドクの山を動かし、中世史から和歌へと、読む予定の山を造り替えました。スーパーへ買い物に行ったら、もう鏡餅数の子が出ています。待ってくれ、未だ秋を楽しんでいる最中だ、と言いたくなりました。