信濃便り・唐辛子篇

長野の友人から、写真添付のメールが来ました。定年後の弟さんが手伝っている農園では、唐辛子の収穫がはじまったそうです。

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信濃町の唐辛子

[3人で午前中いっぱい作業をして、収穫量は約20キロ。作業はまだまだ終わらない。長野市内の老舗唐辛子店に納めるのだそうです。]

収穫は手摘みなんですね。メールには、「去年の千曲川氾濫で被害を被った林檎畑にもたわわに実が生り、河川敷の畑には長芋の葉が青々と茂って(松代は長芋が名産)、泥を掻き出すだけでも大変だったろうに、と農家の苦労を思いました」ともありました。田舎で暮らすと、自然に第一次産業に詳しくなります。第一次産業では、人間は支配する側でなくお仕えする側。収穫の季節の喜びは一入でしょう。

善光寺門前町(地名は大門町というらしい)の七味唐辛子は有名です。高校の定時制に勤めていた時、校長から全日制の修学旅行のお土産、と届けられたことがありました。給食でどうぞ、という口上でしたが、小さな1缶の七味を、大勢が短い時間で掻き込む給食に、どうやって使えというのだろう、と思ったものでした。

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収穫期の唐辛子

イタリア料理店などではインテリア代わりに、赤い唐辛子を束ねて吊してあるのをよく見かけます。我が家でも白菜漬やピクルスを作っていた頃は買い求めましたが、もう何年もしまったまま。

ベランダでは今、観賞用唐辛子が花と実を同時につけています。売れ残りを値切って買ってきた1株も、葉の色を取り戻し、新しい実が黄色く色づき始めました。こういう時ってうれしい。よぼよぼだった苗が元気になると、情が移ります。観賞用の実は食べられませんが、干してハーブと共に瓶に詰め、衣装箪笥に入れて虫除けにします。