廃業

5月のGW明け、Ⅰ枚の葉書が舞い込みました。かかりつけの内科から、閉院しました(4月30日に)という知らせです。えーっ!突然。長年のカルテはどうなるの?新しいかかりつけ医に渡すようにと、呉れるもんじゃないの、ふつう?頭の中を疑問符が渦を巻きました。しかし閉院後、もう10日も経っている。今更電話を掛けても、出かけて行っても無駄だろうな、と思いました。

ちょうどその日、朝起きたら手首に内出血していて、ぶつけた覚えもないので不安になり、やむなく、近くの循環器系開業医に飛び込みました。この程度の内出血は、毛細血管が切れただけで、よくあること、と脈を診ただけ。患者の話をよく聴く、もの静かな医師で、前の内科医とは対照的です。心配した友人がウェブで調べ、HPに回想録が載っていることを教えてくれたので、開けてみると、若い頃、アムステルダムの学会に行って辻斬り強盗に遭い、止血しただけで学会発表を了えた体験談を披露していました。

数日前には突然電話があって、以前に名入りの便箋を作って貰った印刷屋からでした。此度廃業することになったので工場を整理したら、引き渡すのを忘れていた製品が2カートン見つかった、とのこと。届けに来た社長と立ち話をしました。73歳になり、車の運転ができなくなれば商売もできないので、コロナ不況をきっかけに、体調不良の妻の傍にいることにした、という話でした。

前のかかりつけ医は、近くの総合病院の院長を辞めてから開業した74歳。隠居気分がありありでした。コロナ対応が面倒になったのでしょう。印刷会社の方も、コロナはきっかけに過ぎないかもしれません。しかし、社会がきしみながら変わりつつあることを、ひしひしと感じます。この感じは、政治家や官僚たちに、果たして届いているか。