迷う食卓

スーパーへ買い物に行きました。新型ウィルス騒ぎが流通に影響し、空の棚が目立つようになった、と知人が言っていましたが、なるほど生鮮食品、殊に魚介類の棚が淋しい気がしました。いつもある食材が、ない。

でも野菜売り場には春野菜が出始めて、楽しみながら選べます。山形産のプチヴェールが安売りされていたのでまとめ買いしました。多少萎れていても水に浸せば元気になります。芽キャベツの開いたもの、と言えばいいでしょうか。さっと茹でてマヨネーズで食べます。濃い緑とつるっとした歯触り、それに手間のかからないのが嬉しい。

うるいの束も安売りされていました。豆腐と一緒に吸い物仕立てにしようと考えたのですが、冷蔵庫を開けたら、ベーコンの賞味期限が切れそうだったので、一緒に塩で炒めました。タラの芽はベーコンと合うのに、うるいは油揚げの方がよかった、と後悔しました。和風専用の山菜です。早くも蚕豆が出ていましたが、未だ高い。少量で煮物になっているものを買って我慢しました。

酒に合う食材をなるべく避けて晩酌を3日おきに、という決意と、旬の美味しい物は酒に合う、という定理とが葛藤し、食卓に迷いが反映します。プチヴェールの緑とマヨネーズの黄、うるいの白と萌黄色、蚕豆の灰緑色、それに鰺の刺身を並べて、未だ残っている今日の仕事を思い浮かべながら食事を済ますのは、なかなかの力業でした。