商売物

雨の合間を縫って、コンビニへ買い物に出かけました。狭い店で、店舗の真ん中にアイスボックスが置いてあるのですが、若者が6,7人、ぐるりとそれを囲んで談笑している。つまり、2本の通路の邪魔をしているのですが、買う物を選んでいる様子はなく、お互いのつき合いに気を遣いながらたのしくお喋りしているようです(若者の小集団の雰囲気をとっさに見抜くのは、職業柄です)。男の子たちは高校生くらいに見えましたが、女の子はばっちりメイク。学部1,2年生でしょうか。

店内を一回りしてレジへ行こうとしても、未だ全く同じ状態なので、声をかけて道を空けさせました。スマホでボックス内を撮ったりもしています。縁日の金魚掬いやゲームセンターじゃあるまいし、つい、「ここは店なんだからね」と聞こえよがしに呟いてしまいました。ばっちりメイクがわざとらしく、ボックスから商品を取り上げてまた戻し、男の子の1人は籠を持ち上げました。

スーパーで、親が連れてきた子供が、棚の商品をいじくり回したり、はては土足で棚によじ登ったりするのを見かけることがあって、そういう時は直接子供を注意することにしています。お客様は神様です、というなら、店側でも守って欲しい作法がある。

小学校の頃、同級生に近所の八百屋の子がいて、病欠の日に配布物を届けに行ったら、店番をしていたお父さんが、商品をいじる客に、「商売もんなんだからね、あれこれ触られちゃ困るよ!」と注意しているところでした。商売物なんだから、という言葉の重みは、今でも耳に残っています。生産者から購買客に渡すまで、商人には責任がある、という意味が籠められていたのだと思います。

帰宅して買い物包みをほどく頃には、暗い雨が落ち始めていました。