たたみいわし

湘南地方で育ったので、たたみいわしは誰でも知っているものだと思い込んでいました。最近は店頭で見かけることがあまりありませんが、子供の頃はもっと大きくて(B5くらい?1枚を家族で分けました)、今よりずっと安かったと思います。朝食や弁当のおかずに毎日のように出る食材でした。かるく焦げ目のつくくらいにあぶって、醤油をちょっとつけて食べます。

群馬出身や三河出身の知人に話しても、どんなものか想像もつかないと言われます。鰯の仔を海苔のように延ばして・・・と説明したら、1匹の鰯を圧延した姿を想像したらしい。近所の魚屋では、注文すれば冷蔵庫から出して売ってくれるので、論より証拠、買ってみたら、と勧めました。今では5枚¥500で、大きさはA5くらいでしょうか。群馬のおばさんはすっかり気に入ったようで、マイブームになったとのこと。

三河出身の40代女性は、さっそく仲間たちとネット検索したらしい。作り方を知って、これなら高級食材だ、決して高価ではない、と言う。博多出身の我が家の大人たちは、しらすがごっそり入ってくる湘南の地曳網を莫迦にしていましたが、今やしらす丼は、行列に並んで食べる名物なのだそうです。

私もネットで調べたところ、たたみいわしは一味を混ぜたマヨネーズをつけても美味い、とあって吃驚(ウィキペディアが、この部分に出典を要求していて2度吃驚。あくまで個人の感想、でしょう)。朝の忙しい時間、質素な食事の支度中に漂う、あの香ばしい匂いは、もう別のものになったようです。