現場の日々

栃木県の高校教諭をしている、20年前の教え子がやって来ました。定年まであと4年になったとのこと。進学校に転任して11年目、サッカー部の指導その他、忙しく暮らしているらしい。いろんな話をしました。高校にも女性教諭が多くなったこと、アクティブラーニングの登場で国語教育がどう変わったか、大学入試改革の影響、部活と現代っ子気質の変化、知人の噂あれこれ・・・高校教育の現場に大学入試がいかに大きな影響力を持っているかを改めて認識し、またそれを言い訳に、ともすれば高校が時代に乗り遅れがちであることを、私なりに把握することができました。

日が落ちたので、麦酒でも呑もうかと街へ出ました。ベルギービールの看板を出している店へ入ってみましたが、客が少ないのをいいことに、店員がトランプ遊びを始めたので、グラス2杯で別の店へ移り、ワインを呑みながらまたあれこれお喋りしました。現場を大事にしながら自分の研究を続けて行くことは、なかなかの至難事です。しかし、たやすくないことを日々なし遂げるのもまた、人生の目的に値することでしょう。応援しているよ、と口の中で呟きながら呑む酒は、酔わないように見えて結構酔いが回りました。

交差点で別れて、帰る道は昼間の酷暑も和らぎ、花を閉じた松葉牡丹や木槿が、明日の太陽を迎え撃つための眠りに就いていました。