体の幅

校正刷の戻しを発送しに出かけ、ついでにスーパーで買い物をしました。街中の狭いスペースに出来たスーパーなので、棚の間をすれ違うにも苦労します。年を取ると体の幅が広がるのを知っていますか。バランスを取るため脇を締めずに歩くからです。

明らかに定年後の再就職でやってきた、体格の大きな男性店員がいて、商品の点検や配架を担当しているのですが、当初は通路を一杯に塞ぎ、お客よりも自分が優先で動き回るので、邪魔でした。1年半ほど経ってこの頃は、同じ姿勢をしていてもちゃんと客の通る空間が出来るようになりました。通路でぶつかれば、客に譲るようにもなりました。誰かが注意したわけではないようです。やっと第二の(?)職場になじんだね、おめでとう、と呟くような気持ちで通り抜けます。

世田谷で頼んだ内装屋は、もう高齢でしたが、狭い空間を上手に通るので褒めたら、若い頃体操選手だったので、と言っていました。猫は口髭で体の幅を測る、と聞いたことがありますが、年寄りは自分がかさばっていることを自覚していないことが多い。電車やバスで座っても、ぴしっと1人分の空間に収まりません。

街はすっかり暖かくなり、区の名所旧跡ツアーの一行がうろうろしています。老若男女ですがやはり年寄りが多く、道一杯になって歩いて来るのですれ違うのが苦手です。