押し買い

昭和20年代までは、押し売りという商売人(今ふうに言えば飛び込みセールス)がいました。寅さんのような鞄にゴム紐(1,2回洗濯すれば伸びてしまう粗悪品)などの雑貨小物を詰めて各戸を訪ね、玄関先で強引に売る男性です。漫画「サザエさん」にも出て来ますが、「刑務所を出て来たばかりで」といった身の上話がつきものでした。

昨日の昼、初老の女性の声で「株式会社ホールド」と名乗る電話がかかってきました。押し買いで知られた会社です。ウェブ上に、詐欺の証拠をつかまえようとして逃げられた一部始終がアップされています。親の家の整理をしてから、「お片付けのお手伝いを」とか「不用品はありませんか」とかいう電話がかかるようになりました。我が家は電話番号簿に載せておらず、信用できると思った業者を選んで本や骨董品を売ったのですが、個人情報の流出は防ぎきれなかったようです。

親の家の掃除を頼んでいた家政婦さんは北区の一戸建てに住んでいますが、最近「靴を買い取ります」という訪問を受け、ハイヒールなど(彼女は履物道楽)を¥1500で売ったそうです。続いて「指輪はありませんか?」と言われたが、もともと持っていないので、「無い」と言ったらそれで済んだとのこと。押し買いのことは知らなかったようですが、これは幸運な例でしょう。知らずにいると災難の方で避けて通ってくれることがある。

我が家はこのところ、雑誌編集者とのやりとりが多かったので、直接受話器を取る習慣に戻っていたのがいけなかった。当分、留守電対応にしますが悪しからず。