物質の年代と文学の「時代」

地質学専門の中学時代の同級生が、自分たちのやっている研究会で発表しないかと誘ってくれたので、土木工学・地形学・地質学・地震学などを専門とするシニアの研究会・資源セミナーで、「物質の年代と文学作品の「時代」」と題して、炭素14年代判定法が平家物語研究に与えた衝撃(が正しく受け止められていないこと)について話をしました。長門切の話です。

専門の異なる方々が熱心に聞いて下さり、英文学の多ヶ谷有子さんや中古文学の圷美奈子さんもそれぞれパートナーを連れて聴きに来て下さって、恐縮しました。発表後、例えば非破壊検査で墨の年代を判定することなどはできないのかという質問が出たり、そういうことはきっと出来る、出来る人を見つけるために、この11月に科研費を申請して理系の人と共同研究をしてはどうか(私はもう所属機関がないので科研費申請は出来ない)と勧められたりしました。元気が出ました。

もう1本の発表は活断層についてで、専門用語や研究史が分からないまま聞きましたが、活断層というものについては、災害報道や政策立案では断定的に言われていることも、じつは未だ仮説や推定部分が多いのだということを知らされました。

帰りに地質学専門の人とお茶を飲んだのですが、現役時代、調査のために山岳を歩いて、熊や羚羊に遭遇した経験談を聞きました。帰路、夕立が上がった路傍では秋虫が鳴き始めていました。