出版事情

歯医者の帰りに本屋へ入りました。ここ10年ばかりの間に本屋が2軒もつぶれ、20分ほど歩かないと行かれない場所になってしまいました(学生街なのに、というか、だからというか)。久しぶりに入ったら書架の配置が変わっていて、店の面積の7割は新書・文庫本、そして漫画本。こんなに数多い本が出ていて、どうして出版不況なんだろう、と思ってしまいましたが、1時間近く見て回って、買う気になる本はあまりない。新書などは、書名と目次を見ただけでもう読んだような気になってしまいます。書評などを見て、探そうと思っていた本は殆ど見つからない。ではこれだけの本は、誰がいつ読んでいるのか・・・

逆説的ですが、本が出すぎるのではと思ったりしました。研究者は業績稼ぎに次々出さざるを得ず、作家も絶えず出していないと忘れられそうで怖いし、版元も自転車操業で止まれない。ここにあるたいていの本は、消耗品なのでしょうか。

もうひとつ吃驚したのは、老後本とでもいうべきコーナーができていたこと。老後の心構えや、死、健康、相続等々のテーマで書かれた、読み流せる本です。私も『肺炎がいやならのどを鍛えなさい』という本を買って帰りました。立ち読みするには気が引けるが、けっきょく必要な頁は、六分の一くらいでした。