梔子の花

我が家の梔子が咲き始めました。20年前、宇都宮大学の同僚から頂いた枝6本を挿し木し、知人たちにも分けましたが、今は私の背丈より高くなり、ベランダの目隠しの高さに合わせて剪定しています。八重の純白の花が開いてゆく時は惚れ惚れします。青虫がつきやすいのですが、この頃は知らぬうちに雀が退治してくれているようです。

1輪めは剪って仏壇に上げます。疲れた晩に暗がりの中から漂ってくる芳香は、百薬にまさります。行きつけの肉屋の女将に届けると、実家にも大きな木があったのでなつかしい、と喜んでくれるので、2,3輪咲いたら剪って持って行くことにしています。花が萎れても、葉のつややかさがもったいなくてそのまま差しておくと、必ず発根するので苗が増え、嫁入り先を探すのに苦労しています。

渡哲也の歌う「梔子の花」という歌があります。「おまえのような 花だった」という歌詞は、じつは「おまえは、梔子の花のような女だった」と偲んでいるのに、比喩を逆転させているところが男の照れと自制を表しているのでしょう。