朝顔と光君

國學院大學学報1月号に竹内正彦さんの「『源氏物語』の新たな「読み」とは」が載っています。竹内さんは自らの立脚点は研究史を踏まえ、折口信夫に学ぶもので、物語の表現そのものに向き合うことから出発したいと言う。読みの一例として、女三宮が柏木に姿…

下請け孫請け

コロナの間先延ばししていた家の中のメンテナンスが気になり始め、一つずつ片づけることにしました。ところが受付や営業の対応がちぐはぐなことが多く、いざこざ寸前になったりして、一苦労でした。やって来る現場職人はちゃんとしているのに。 まずカーテン…

資本運用立国

資本運用立国ーこんな語が似合う国だったのでしょうか、我が日本は。やりたい人、やれる才能のある人が投資で稼ぐのは構わないと思いますが、政府が国民に、足りない資金は投資で作れ、という前提でライフプランを立てるよう勧めることには大きな抵抗があり…

風信子

寒かった間も植物たちは日々春に向かって息づいていたようで、忙しさに紛れて鉢に移すのを先延ばししていたクロッカスが、ポットに入ったまま咲き始めてしまいました。紫の心算で買ったのですが、咲いた花は白。中央に赤い雌蘂が1本、真っ直ぐ伸びているの…

おみくじの歴史

平野多恵さんの『おみくじの歴史 神仏のお告げはなぜ詩歌なのか』(吉川弘文館)を読みました。平野さんは明恵など中世和歌の研究者でもありますが、神籤の研究を続けてきて、今では学生と共に実際のおみくじの創作や、神社の催事にも携わっているという、元…

庭園

昨夜、Nスペで、足立美術館と桂離宮の庭園を担当する庭師たちの1年間を紹介していました。松江の近くにある足立美術館は、横山大観のコレクションで有名ですが、近年は庭園が人気のようです。米国の日本庭園専門誌(そういうものがあるんですね)や仏蘭西の…

建国記念日

アナウンサーが「記憶力が衰えていて、訴追を維持できないと判断した」と読むのを耳にして、てっきり弊国の文科相のことだと思ったら、違いました。米国の現大統領のことだそうで、ほぼ同い年の私はショック。しかし弊国の文科相の方は10歳も若いのですか…

彩雲

昨日の午後、ふと窓外を見上げたら、曇天の一部が微かに色づいていました。赤、黄、青3色の帯が描く円の断片です。中世なら、誰かが往生した徴と記録されるかも、と思いながら眺めました。雲の中の水滴に陽光が当たって、虹の断片ができたのでしょう。 夜の…

豊後便り・公園散歩篇

別府暮らしの友人から、写メールが来ました。 別府公園の紅梅 【家から1~2㎞ほど坂を下った所に、別府公園という大きな公園があります。外周が2.4㎞程度で、内側の周回道路を一周すると約1.5㎞あります。入り口から一番奥のあたりまでの高低差が40mぐら…

とは言わんけれども

ギャングスタイルで失言を連発する政治家は、「そんなに美しいとは言わんけれども」云々と現外相を持ち上げた(つもりの)発言を撤回したようです。当の女性政治家は「どのような声もありがたく」とかわし、SNSは喧々囂々だったそうで、我が家の購読紙の川柳…

五島ジン

朝、郵便小包が来ました。五島列島の醸造所からです。別府で悠々自適の友人から、愛妻旅行で五島へ行った際に気に入ったので送った、という葉書が来ていました。特産の椿の実を利用して作ったジン、レアものらしい。17種の植物と島の水に拘って作ったとい…

源平の人々に出会う旅 第85回「嵯峨嵐山・西行伝説」

"旅する僧"として全国各地に伝承を持つのが空海や行基、宗祇、西行などです。なかでも、宗祇や西行が、旅の途中で出会った子供が詠んだ歌のレベルの高さに驚いて道を引き返したというパターン(西行戻り伝説と呼ばれる)の伝承は興味深いものです。 【歌詰橋…

林檎と雪

林檎を煮ました。先月は林檎3個と柚子1個、それにドライプルーン1袋、ちょうどよい甘さになり、あちこちへ分けたらすぐなくなりました。今回は林檎3個半にレモン1個、ドライプルーンは1袋。酸味が効いて、甘さはちょっと足りない気がしましたが、来客…

体験的電子事情・メルアド変更篇

マンションが光回線に換えるに伴ってプロバイダーを変え、20年使ってきたメールアドレスを変えなければならなくなりました。我が家では別に不自由していなかったので、回線を換える必要はなかったのですが、最新設備を求める男性たちと総会で激論になり、…

生命力

野菜は2,3日分一緒に洗って、タッパウェアに詰め、冷蔵庫に入れておくことにしています。昨日、菜の花を炒めようと思って容器の蓋を開けたら、ふわりと黄色い花手毬が起ち上がりました。洗った時は蕾だったのですが、知らぬうちに咲いてしまったようです…

攻防戦

風花が舞いそうな冷たい1日。健診結果を聞きに、かかりつけ医の許に出かけました。ここでまた強引に服薬を勧められたら、今さら医者を換えるわけにはいかないし、がつんとやるしかないか、でも、彼ももう医師としてのやり方を変えることはできないだろうし…

金魚坂

エノキさんから、金魚坂が閉めるんですってね、と教えられました。そう言えば、一時は金魚釣りで賑わっていた(子連れの若いパパたちが多かった)のに、年末からひとけがなくなり、周辺が散らかったりしていたなあ、と思って、見に行きました。狭い小路で金…

山上憶良

多田一臣さんの『山上憶良』(花鳥社 2023/12)を読みました。「生きる意味を問い続けた歌人の表現思想」という副題で、憶良の全作品を(やや幅広く認定)、およそ年代順に配列し、評釈を加えた歌人伝です。親切にルビが振ってあり、古文には全て現代語訳が…

感性と視点

政治家の失言は講演会で出ることが多いようです。話を面白くしようというサービス精神か、ここではオレが王様と思う故なのか。尤も絶えず失言をしている人もあって、ギャングスタイルの似合う、九州出身の老人はまさに百連発。現在の外相に言及して「俺たち…

国立劇場

国立劇場が建て替えのため2029年まで休館、ところが工事の入札は2度も不成立、というニュースは知っていましたが、NHK-ETVで昨秋の俳優祭が放映されたのを視ながら、考え込んでしまいました。この分では果たして再開できるかどうかも怪しい。国立劇場創…

ボランティア

能登大地震支援ボランティアの受け入れが始まりました。体力のない私は、自分の仕事の合間に被災地へ手伝いに行こうという人たちに、驚嘆の念を禁じ得ません。どうか怪我をしないように、疲れが溜まりませんように。 マスコミは受け入れが遅いと言わんばかり…

翁の世界

東大中世文学研究会第351回にオンラインで参加しました。4年ぶりの新年会だそうで、発表は松岡心平さんの「翁の発生ー歴史的にー」、ハイブリッド方式なので、オンライン参加は16名でしたが、会場は盛会だったようです。 予め配信されたレジュメは手書…

老年医学

寒風の中、区の健診を受けるためかかりつけ医に出かけました。開成高校出身の胃腸専門医です。ちょっとでも基準値を超えているとしつこく服薬を勧めるので、5日間断酒して準備しました。ところが3日目に腹痛、軽い下痢・・・酒なしだとどうしても食べる速…

父祖の地

福岡の藤立紘輝さんから寒中見舞の葉書が来ました。年末にこのブログで、彼の論文を紹介しましたが、年末年始は太宰府天満宮で御奉仕するのが恒例になっていて連絡できなかったので、という文面でした。藤立さんは皇學館大学を出て、福岡大学の修士課程在籍…

リンカーンが、40過ぎたら自分の顔に責任がある、と言った話は有名ですが、このところ、TV画面に大写しになる顔にうんざりしています。 愛知3区のオジサン、長崎3区のジイサン、かつて新幹線の駅を自分の故郷に造らせ、駅前に巨大な銅像が建っている人の…

新たな教訓

お宅の水道栓は、上から押すタイプですか、押し上げるタイプですか?リノベーションされたマンションでは時折、前者のままになっていることがありますが、じつは阪神大震災の時、押し潰された家屋の水道栓が開いたままになって止められず、その教訓から押し…

能登を懐う・3

昨夜、夕食後半ばうとうとしながらTVのリモコンをいじっていたら、「重機の達人」やら「職人魂」やら、大仰な字幕入りの画面が出てきました。重機の操縦士がインタビューに答える言葉が耳に留まり、暫く視る気になりました。どうやら土木工事によく使われる…

健康観察

午のニュースの後、広島から男子都道府県対抗駅伝の中継が始まりました。平和祈念公園や宮島があるコースなので、手仕事をしながら視ました。NHKの中継は沿道風景をあまり映さないのが不満ですが、スタートから首位を走る、長崎県代表選手の姿勢のよさに見惚…

冬野菜を食べる

金柑の進歩に驚愕した話は以前、このブログに書きました。トマトと金柑は、私たちの世代から見ると、往年のそれとは別物のようです。品種改良は日進月歩らしく、葉菜類ではさほど目立たないものの、菠薐草も昔ほどアクが強くなくなりました。最近感心したの…

能登を懐う・2

マンション階上の老婦人とEVで遭って、挨拶しました。毎春桜を訪ねて旧友と旅行する、という女社長です。能登は大変らしい、という話がEVの中で終わらず、玄関前で立ち話になりました。みんな金沢ばっかりに行くけど、能登は海も山もあって、魚が美味しくて…