2021-01-01から1年間の記事一覧

黄金の園

我が家の庭先はいま、黄金の園という趣です。児童館の庭から失敬してきた小枝を挿し木し、増やした小菊が黄色い花を開き、日差しに輝いて、咲き乱れているからです。もとの児童館ではこの十数年間に1,2度しか咲いたことがなく、殆ど出自を忘れるところでし…

野党

野党第一党の新代表が決まったようです。報道で見聞きした印象でしかありませんが、第1回投票の結果は妥当なもの(投票者たちの判断がほぼ妥当)だったと思います。大新聞や「公共放送」だけでなく民放の夜のニュースショーを視ると、異なる視点で情報の補…

量り売り

川越の友人から、レジ袋有料化についてメールが来ました。 【いつも思うのは、日本では何故、量り売りをしないのか?ということです。 ジュネーブで暮らした半年の間、よく野菜や肉などを買いに行きました。スイスでは、食料品は基本的に量り売りです。胡瓜…

羅山と古活字版

高木浩明さんの斯道文庫における講演会(「羅山と古活字版」)がYouTubeで、配付資料がウェブ上に、公開されています。 https://www.youtube.com/watch?v=jRQ0e8oyV74 https://keio.box.com/s/16ortlmkyr5bmg5a8u5zvvvdaig5aucv 2時間に及ぶ講演会なので、…

『台記』久安六年

原水民樹著『『台記』注釈 久安六年』(和泉書院)という本が出ました。『台記』は保元の乱で敗れて死んだ藤原頼長の日記。武者の世の始まりとなった保元の乱の背景を知るだけでなく、悪左府と呼ばれた、強烈な個性の男性貴族の赤裸々な生活を知ることができ…

コロナの街・ part 29

北区の一里塚の近くで開業している、従妹のクリニックへ行きました。コロナ以来、完全予約制にしたとかで、メールで問い合わせたら、10分刻みで空き時間を知らされ、叔父の三回忌の供物を持って、待つ覚悟で早めに出かけました。都営地下鉄の券売機の脇に…

コロナの街・part 28

野菜とパンを買いに、播磨坂のスーパーへ出かけました。名所の桜並木はすっかり散ってしまい、街にはもう、クリスマスツリーを飾っている店がありました。ドイツのクリスマス菓子シュトーレンの貼紙が出ています。空いていそうな時間を狙ったので、スーパー…

立派な蕪が出ていたので買ってみました。根も葉も茎もざくざく刻んでベーコンと一緒に塩胡椒で炒めて1皿。根を櫛形に切って、醤油に漬け込み、1晩置いたら小鉢になります。根が1個残り、油揚げと一緒に煮るかな、と考えましたが、櫛形に切って電子レンジ…

中世和歌の始まり

木村尚志さんの『中世和歌の始まりー京と鎌倉をつなぐ文化交流の軌跡』(花鳥社)という本が出ました。全448頁、書名の壮大さに一瞬立ち止まる気になりますが、2009年以降の論文に手を加え、新稿を足して1冊にしたもの。 序・和歌史の「中世」をめぐって…

菊坂コロッケ

近所の肉屋で揚げるコロッケは人気商品です。十数年前は、いかにもbutcherらしい体つきの主人が勢いよく「へいらっしゃい!」と声を掛ける店だったのですが、主人が高齢になってデイサービスに通うようになり、今は女将と娘の2人でやっています。 ここで揚…

平曲譜本2種

先週の古典籍展観大入札会に、平曲譜本が2種出ていました。NO125は波多野流譜本、NO126は前田流の『平家正節』です。 波多野流と前田流はどちらも一方流ですが、現在語られている平曲は前田流(名古屋の検校たちは波多野流だという説もあった)で、名古屋の…

阿波国便り・灌頂ケ滝篇

徳島の原水さんから、「コロナ以降初めて遠出(といっても40kmほどですが)し、勝浦郡にある潅頂ケ滝に出かけてみました」と、写メールが来ました。 勝浦の紅葉 上勝町の立てた説明板によると、弘法大師が水行をしたという伝説があるそうで、高さ70m、別…

刺さらない

アメリカ文学専門の友人に、バイデンの英語はどう?と訊いてみました。米国留学経験のある彼女は、口頭英語の品格と政治家の評価とを一体のものとして把握しているからです。答えは「刺さらない」でした。尤も前任者が刺さりすぎる、いやどやしつけるような…

回想的長門本平家物語研究史(10)

村上光徳さんと校本長門本を出そうと決め、底本と参照本文とを選定するため、私が見てきた善本を2人で再訪しました。善本は長門、毛利などの藩が関わって公的に写されたと思われ、装幀にも共通性があります。村上さんが根気よく伝来を尋ねて歩いた成果は、…

豊後便り・小鹿田篇

紅葉狩りに行く途中で陶器の里に迷い込んでしまった、と豊後便りが来ました。 小鹿田の窯元 【日田市の「ことといの里」から英彦山神社の紅葉を見にドライブし、小さな集落にさしかかったら突然道が狭くなり、対向車がきたのでバックで集落まで戻り、対向車…

仏壇孝行

多ヶ谷有子さんから、手作りの干し柿が送られてきました。庭先の柿の木の落果が激しくてはらはらしていたが、思いがけず沢山収穫できたので、とのこと。飴色に、ほどよい手触りに仕上がっています。さっそく仏壇に上げました。長野の友人の手土産、赤と黄と…

快気祝

難病を克服した友人が、ようやく定期検診をやめてもいいことになったというので、我が家で2人だけの快気祝をしました。神経鞘腫という、10万人に1人か2人という病気の手術が成功、5年間の観察期間が終了したのです。この病気第一の専門家と言われる主…

阿波国便り・里の実り篇

徳島の原水さんから、本ブログを読んだ、とメールが来ました。 【B-グルとは、ビーグル犬の格好をしたバスでも走っているのかと思いましたら、「文京区ぐるり」の略なのですね。ビーグル犬はスヌーピーのモデルで、森のトランペッターといわれるぐらい声が響…

回想的長門本平家物語研究史(9)

長門本平家物語の所在をとにかくこの目で確かめよう、翻刻経緯不明の国書刊行会本で読んでいてもいいのか、という思いで調査を続け、平曲譜本や奈良絵本を除き、概ね「長門本」の本文には大きな相違がないこと、しかし旧国宝本段階ですでに脱落や様式の不統…

意味、わかんない

第2与党が選挙前に俄に言い出した、18歳未満一律10万円給付。知人と共に、あれって、意味わかんない、という話で盛り上がりました。何の為なのか、この時期に何の効果があるのか。18歳未満なら通常は親がかりでしょうから、子育て世代支援とか、一人…

信濃便り・庭園開放篇

今年、NHKーTVでは夕方の関東地方ニュースで、短い時間ですが各地の紅葉の映像を流しています。例年なら民放のニュースショーなどで、名所の中継が行われる季節ですが、コロナ自粛でしょうか、未だ視ていません。桜前線と違って紅葉は、撮影のしかたによって…

秀吉イメージ

井上泰至さんから、本ブログの「理文融合型資料論」を読んだ、とメールが来ました。「秀吉イメージの現在」(『戦国時代劇メディアの見方・つくり方ー戦国イメージと時代考証』 勉誠出版)という短文のPDFと、代々木公園の写真が添付されていました。 代々木…

花を貰う

我が家への角を曲がる所に、3階建ての小さなビルがあり、検針器の下の空間には椿や下野、鉄線、斑入りの菅などが植え込まれ、軒先には季節ごとにプランターを出して、山野草が咲かせてあります。河原撫子、桔梗、蛍袋、立浪草・・・見事なのは春先に咲く紅…

氷島の軽石

米国在住の安宅正子さんから、写メールが来ました。 アイスランドの軽石と海辺の石 【子供の頃、軽石といえば、ガサガサした足の裏を石鹸をつけてこするために使った、白くて楕円形に削られた商品としか思っていませんでした。火山噴火の際にできると知った…

軽石

小笠原諸島の海底火山が爆発して、夥しい量の軽石が奄美・沖縄まで流れ着き、島の生活や漁業、原発にも支障が出ているという報道に吃驚しています。小笠原諸島って、たしか東京の沖合じゃなかったっけ、それがどうして、まず奄美・沖縄に被害をもたらし、3…

源平の人々に出会う旅 第58回「熊谷市・長井斎藤別当実盛」

『平家物語』の有名な逸話の一つに、加賀篠原の戦い(寿永2年=1183)で白髪を墨で染めて討死する斎藤実盛の話があります。実盛は北陸の生まれでしたが、源氏の家人として東国に館を構えていました。 【長井斎藤別当実盛館跡】 『平家物語』に「長井斎藤別当…

回想的長門本平家物語研究史(8)

昭和40年代の半ばから、水原一さんがそれまでの四部合戦状本古態説を批判し、延慶本古態説を主張し始めました。従来、和文体より漢文体、年代記的で素朴な記述の方が古い本文だとの先入観から、源平闘諍録や四部合戦状本、屋代本が古態本と位置づけられて…

熟柿

母の命日のために花を買いました。墓参りはここ2年行けないまま、せめて自宅の供花を大きなものに、と言ったら、花屋が「そういう人は多い」と言っていました。私が選んだのは、大輪ではないがやっぱり薔薇。白、花弁の縁にピンクのぼかしがある白、珊瑚色…

ソウルフード

三河育ちのエノキさんから、作ってみました、と芋饅頭を1個、貰いました。さつまいもをざくざく賽の目に切って、小麦粉を混ぜ、蒸したもの。郷里のソウルフードだそうです。そう言えば、名古屋に勤めていた時店先でよく見かけましたが、甘藷と粉を混ぜてふ…

理文融合型資料論

井上泰至編『資料論がひらく軍記・合戦図の世界―理文融合型資料論と史学・文学の交差―』(勉誠出版 「アジア遊学」262)を読みました。論文14本、Ⅰ理文融合型資料論の実践 Ⅱ史学と文学研究の交差―17世紀の軍記と関連資料への視座 Ⅲ兵学と有職学―19世紀…