新しい?

「新しい生活様式」という語には、拒否反応があります、殊に政府から言われるのは。公共放送のアナウンサーたちが、この語を使って燥ぐのを見ると腹が立つ。「新しい日常」の方が未だまし、new normalという言い方もそれなりに理解できます。要は、生活を維持しながらコロナ感染(及び重篤化)を避ける方策を日常化しようということであって、生活様式(それは文化だ)にまで口を出されるいわれはない、と思うのです。

早くもポスト・コロナの話題が出始めました。雇用や経済、「働き方改革」などの重要な要素が今後どうなるかが未だ分からないので、見通しは立ちませんが、多少なりとも望ましい方向はどっちだ、と考えておくことは必要でしょう。教育の現場でも、学会や博物館・美術館などでも、ITの進出がどこまで有益か、注目されます。単にメディアが変わる、というのでなく文化の発信・受信に関して、その表現方法が大きく変質せざるを得ないのでは。

いまへとへとになりながらオンライン授業に直面している皆さんは(教師も教わる側も)、コミュニケーションの歴史の変わり目を創っている、と考えて下さい。なるたけデメリットを少なくし、民主的で創造的な意思疎通の条件を発見し、定着させて下さい。ITの世界では、さまざまな試みがなされているようです。何が残り、何が消えていくか、私の世代は手をこまぬいて観ているしかありませんが。

その点、怠惰なのは既存のTV放送ではないか、と思います。リモート出演にしただけで旧態依然の構成の番組か、再放送またはVTRに手を加えた程度の番組を流し続けている。大勢のクルーによらず、芸人を駆り出さず、ハンディでもTVでなければ提供できないメッセージが、そろそろ連発されてもいい頃ではないですか。