信濃便り・芽吹き篇

長野の友人からメールが来ました。階段から落ちて骨折し、幸い、今はリハビリと日光浴を兼ねて、近所を散歩しているそうです。

佐久間象山の号の由来と言われる山が、近くにあります。号には二通りの読み方(
「ぞうざん」、「しょうざん」)がありますが、山の名前は「ぞうざん」。山桜の白い
花が木々の芽吹きに混じるようにして咲きます。そう言えば、地元に数年前にできた喫
茶店の名前が「エレファントマウンテン」。広いキッズスペースがあり、ママ友で結構
繁盛している。年中かき氷が食べられるというのが、その店の「売り」だそうです。]

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みすずかる信濃

友人は最近大事な人を看取ったばかりで、歩きながら、さまざま思い出すことがあるでしょう。私も家族を見送った後しばらくは、街角ごとに思い出すことばかりでした。

新幹線ががら空きだと聞けば、この季節、ふらりと旅に出たくなります。東京は薔薇の時季ですが、給水公苑も古河庭園も閉鎖中。夕方、大塚駅前まで行ってみました。今年は未だ早いらしく、1輪だけ咲いた花の前で、老人がスケッチをしていました。

裏通りのスーパーへ入って、野菜と殻つきの茹で蝦蛄を買いました。惣菜屋は5時過ぎだというのに、あらかた売り切れ。その代わり居酒屋が店先に弁当を出しています。駅ビルの上にはちょっと美味しい肴を出す店があって、例年なら銚子1本呑んで帰るところなのですが、今日は真っ直ぐ帰宅。BSーTVで信濃路の鉄道旅を視ながら、いつもとは違う旬の食材を並べました。新じゃがのフライ、イタリアンセルリのサラダ、茄子の天麩羅、マグロの刺身と蝦蛄。名古屋ではよく殻つき蝦蛄を買ったものでしたが、もう剥き方を忘れていて、指は傷だらけになりました。