政策参加

随分昔のこと(たしか57年前)ですが、蝋山政道さんが講義1時間まるまる使って、学者はもっと政治参加すべきだ、という話をするのを聞いたことがありました。その後の講義内容も科目名も覚えていないことからすると、オムニバス授業の1齣だったかもしれません。学部に入ったばかりのことで、何故こんな話をされるのかよく分からなかったのですが、数日後、新聞の社説で、学者が諮問会議などに入って政策決定に関わることの是非が論じられました(その歴史的意味が理解できたのは、はるか後年になってからです)。

以下のことは、一昨日書こうと考えていたことですーいま未体験の新型感染症騒ぎで、政府は、さまざまな分野第一線の学者たちを続々専門家会議なるものに召集し、学者たちも労を厭わず参集しているようです。その意気は多とするものですが、彼らが自身の研究や教育に当てる時間と労力を削った結果が、きちんと活かされるのかどうか。政治の場よりも各人の持ち場でやることの方が将来的には有益かもしれない、という不安がふと心をよぎりました。勿論、政策決定への協力そのものは否定しません。蝋山さんのことを思い出したのは、そのためです。

政府が、せっかく出された専門家の提言を、ねじ曲げたり圧殺したりしなければいいが・・・ネット上で、「8割おじさん」を自称する理論疫学の専門家の発信を読みました。何故7割では駄目で8割なのか、その数字はどういう計算によるのか、現実に、社会活動を停止しないまま人の接触を8割減らすことなんて可能なのか等々の疑問は、彼の説明を読むとかなり(全部ではない)理解できます。すでに政府との間でのせめぎ合いも経験したそうで、したたかな、精力的な(圧殺の心配は無用)学者のようでした。

追記:上記の学者たちの奮闘の一部は、夜のNスペで報道されました。