史学と歴史文学

中世日本史が専門の錦織勤さんから、メールが来ました。錦織さんは史学の側から、文学との違いを明瞭に認識している方(最近はそういう史学者は貴重種)なので、いつも有益な意見を聞かせて貰っています。許諾を得て一部引用します。

[『武者の世が始まる』(花鳥社)が届きました。多彩な論文が並んでいて、読者としては面白いです。本巻は、自分の興味ある分野と重なるので、多少はなじみのある『台記』に関する、原水民樹さんの論文を読みました。『台記』をベースに、他の軍記物なども合わせて検討されていて、勉強になりました。

この講座は、日本史の側からいうと、国文学の人たちの問題意識・方法を知る上で、とても有用な企画だと思いました。私は、残り時間との相談なので、どれほど読めるかわかりませんが、読んでみたいテーマのものが溢れている、という感じです。時間をつくって、一つでも多く読んでみたいと思います。

これから、平安後期の日記も少し読んでみよう、と思っていますが、国文学の人たちの読み方を知ってしまうと、ちょっと尻込みしてしまいます。その時代の記録、文学を総合的に頭に入れていないと、読んだことにはならないのだ、と改めて知らされました。もちろん、私がこれからそんなことをするのは無理なので、インデックス史学的に、必要なところだけをつまみ食いするしかありませんが、そのことは頭に入れておこうと思いました](錦織勤)。

コロナ・ウィルスを水際で食い止めるというのはもう幻想だろう、インフルエンザのちょっと怖いやつ、と考えれば結局、体力勝負だが、自分が高齢者に入っていることをつい忘れます、とも書いてありました。