まもなく木枯

今年の東京は少しずつ季節がずれています。長雨続きの後の快晴、陽光は温かいが風はまもなく木枯が吹くだろう、と感じさせ、でも未だ木犀の香りが街のあちこちに残っています。10月上旬と11月初めとがモザイクになっている。朝早くの舗道には、水木の赤い実が落ちて、つやつやと光っていました。

台風15号で塩害に遭った我が家の菊。今年は駄目かなと思いましたが、茎の頭の芯を見るとかすかに光っている。蕾を見せ始めたのです。台風で折れた茎が惜しくてコップに挿しておいたら、2週間後には根が出ました。健気なので鉢に植え、たとえいじけた花でも、咲くのを見てやろうと思っています。素馨も塩害で葉が枯れ、蔓ごとぶつぶつ伐り落としたのですが、柔らかな新芽が出てきました。

日々草が弱り始める一方、ブルーサルビアの紫が濃くなり、鶏頭は花頭が重いらしくて倒れ始めました。枯れる前の花々をちょっとずつ剪っては、洗面台の小さな花瓶に活けています。今日は、石榴の実に雪花葛の蔓を差し添えて、晩秋を演出しました。まもなく、日々草も鶏頭もコリウスもざっくり刈って、大口の壺に投げ込む日が来るでしょう、木枯にやられてしまう前に。

ムスカリを植え、菫の種を採り、ビオラの前に植える花を物色して、同じような生活が来年も続く準備をしているけど、ふと、人間の時間は有限であることが思い浮かび、でもまたすぐ忘れるのです。そうそう、すやの栗きんとんを買いに行かなくっちゃ。