天災

一昨日の晩、にわかに消防車のサイレンが間近に続き、堪りかねて窓から覗いたら、我が家の前に車列をなして停まっているので吃驚。近所のぼやだったようで、飛び出してきた隣人たちと顔を見合わせ、胸をなで下ろしました。

翌日、つまり昨日は台風19号の接近で、大雨。TVは終日、警戒を呼びかけ続けました。子供の頃は、雨戸がたわむのを見た恐怖の夜もありましたが、マンション暮しをするようになってからは、ベランダさえ片づけておけば、どんな台風でも熟睡してきたのです。ところが夜の9時半頃、今まで屋内では経験したことのないような風の音が20分ほど続き、南側の換気扇の通風口が吹っ飛び、真っ直ぐに強風が吹き込んできました。拾ってみると、プラスチックの筒がコンクリートの孔にはめこんであるだけ。慌ててガムテープで塞ごうとしましたが、壁紙は粘着テープを受け付けない材質になっている。やっと詰め物をして、気がつくと、窓外は雨も風も止んでいるようです。TV画面を視ても、さまざまな情報が錯綜して流され、いま台風がどこにいるのかが分かりません。どうやら超大型とされた暴風域は、1時間もかからずに東京を通り抜けたらしい。せっかくの多元画面なのだから、台風の位置は示し続けておいて欲しいし、通過後も、今後の記憶のために、時間ごとの最大風速や雨量を報じて欲しいものです。

地震雷火事親父、という諺があります。辞書を引くと、天災を怖いもの順に並べたとありますが、順番に根拠はない。とつぜんやってくる身近な恐怖を、韻を踏んで列挙したところがミソでしょうが、この諺は、都市部で、比較的近い時代に案出されたのではないか、と思いました。大昔は勿論、最近の日本の天災事情にも、もう当てはまりません。雷や火事よりも水害、風害の方が怖いし、第一、親父はもう、怖くないでしょう。