数字への疑問

統計の読み方、数値の意味に正しくつきあうことの難しさ、その目くらましの危うさを知れば、ぎょっと、もしくはぞっとすることが少なくありません。近年、そのストレスはますます増えてきたようです。

最低賃金は上がり続けているが、全労働者の賃金の中位数は下がっていて、つまりは低賃金の労働者が増えていて、生活水準は下がっているのだという指摘(このコラムの筆者は、最低賃金をクリアする程度の低賃金によってしか経営が成り立たないとする企業、それを容認するエコノミストたちの責任を論じています)。

幼児教育・保育の無償化に合わせて、幼稚園・保育園が利用料を値上げする動きが各地で見られるという報道。補助金も利用料も、めいっぱい獲得しようという魂胆が丸見えです。ほんとうに必要な額なのか、なぜ今値上げするのか、政府は経営側に保護者への情報開示を義務づけるべきではないでしょうか。消費増税の目的が歪められる恐れがあるからです。

複雑でわかりにくい消費減税制度(正しくは消費増税の一部還元制度、とでも呼ぶべきですが)。なぜ個人商店では5%でフランチャイズ店では2%なのか、その根拠は?また一見、持ち帰りの方がお得のようですが、持ち帰り容器などのコストとイートインのコストの比較計算などはなされたのでしょうか?つまり、消費増税によって実施する事業に宛てる予算の試算根拠は、きちんとしたものなのか。

今日1日の朝刊に見出される数字だけからでも、年金生活者の心配を増やす要素はこんなにある。白髪三千丈、は文飾ではなくなりそうです。