物々交換

楊梅ジュースを分けた御礼に、手作りの杏ジャムを貰いました。とろりとして、ほどほどの酸味が美味しい。何よりも色が美しいので、朝のヨーグルトに混ぜると目が覚めます。甘み控えめの表示で選んでも、大量生産品のジャムと手作りではなぜか甘みが違い、手作りにはどこかしらなつかしさが残っています。甲州へドライブした時に道の駅で買った、「手作り桑の実ジャム」も同様に、母や祖母が元気だった頃の、昔の甘みでした。

長野の知人から貰った杏で作った、という話でした。種を抜いて、果肉をざく切りにし、砂糖をかけてしばらく置いておくと水気が出るので、そのまま煮るだけ、だそうです。フルーツソースくらいのゆるさなので、鴨肉の燻製にかけるときっと美味しいよ、と提案しておきました。

今朝の食卓は杏のジャムのほかに、ジュース代わりのレモン水。知人が学会で出かけた岡山の居酒屋で、店主と仲良くなり、その店が取り寄せた広島のレモンを箱入りで分けて貰ったからお裾分け、と言って呉れたレモンです。卓上には梔子の花が匂う(この梔子は20年前、宇大の同僚から貰った枝を挿木したもの。今年もあちこちへ、剪って分けました)・・・庭の花や手作り食品や、素敵な頂き物のお裾分けなど、小さな物々交換の連鎖は、女の特権ではないかしら。

狂言でよく言う科白に、「若い内に旅をせねば、年を取ってからの話の種がない」というのがありますが、交換して手許にやってきた物の、来歴やその産地それぞれに思いを馳せ、その土地に関係した自分の思い出をフラッシュバックしながら摂る朝食は、わるくない。いい1日になりそうです。