庭の山椒の木

山椒の木の苗を貰う約束で、友人(中世英文学が専門)と呑みました。焼鳥屋に入り、2人とも日本酒好きなので、日高見・上喜元・伯楽天・田酒・黒龍・仙禽・・・店の奨めに従って燗にしたり冷やにしたりして、5時間以上お喋りしました。話題は縦横無尽に飛び、最近の女子教育、女性の仕事と結婚の両立、国文学のグローバル化、京都や欧州の昨今、老いたアラン・ドロン高橋真梨子の魅力等々にも及びました。

息子世代と同居するために家を増築している最中で、庭の山椒の木が踏みつぶされない前にとのことで、鉢植えと広島土産のレモンを頂き、私からは掘り上げたムスカリの球根を分けました。これでもう、防犯カメラにびくびくしながら児童館の庭から木の芽を失敬してこなくてもよくなったわけです。ただ山椒は雌雄異株なので、実がなるかどうかは分かりません。来年以降の楽しみです。

男性研究者が何気なく、あるいは大向こうに受けようとして述べる発言が、どれだけ女性を傷つけ、その行く手を遮っているか、そのことを分からせるためだけにいかに精力を使ってきたかという話で互いに共感しました。情けないことですが・・・性の一方が権力を持っている間は、もう一方はこういう戦いを強いられ続けるのでしょうか。

結婚して幸せそうにやってきてもじつは、互いに、これでよかったと思えるようになるのに40年かかった、という実感のこもった話も出ました。蒼井優が婚約発表の記者会見で、彼を選んだ理由に、冷蔵庫の扉もちゃんと閉めるし、と言ったことに2人とも、結婚生活ってああいうもんだ、と同感でした。日常の些事が問題なのだから。今からでは間に合いませんね、という笑い話になって、学生だけが歩いている、満月の交差点で別れました。