薔薇の蘇生

伸びすぎた石榴の枝を剪って、小さく活けることにしました。赫い新芽や茎と黄緑の葉とが引き立て合って、とても美しいのです。ところが風雨で倒れたロベリアを起こしたりしていた、たった20分ほどの間にぐったり萎れてしまいました。すぐ切り戻して水に入れたので、蘇生するはず、と楽観していました。濃緑の菫の葉(伸びた茎と三角形の葉の描く造形が面白い)や、花の小さくなったビオラと合わせて活けておいたのですが、真っ直ぐ生き返るのに1日半もかかりました。

店で売っている切り花は、こんなに急には萎れず、水切りすれば1晩で生き返りますが、野の花は摘んだ手の中でみるみる萎れていきます。先々週、大塚から、折りかけられた薔薇の枝を3本持ち帰って水に浸け、生き返らせた所存でしたが、蕾はけっきょく開花しませんでした。薔薇のように幾重にも固く巻き込んだ花は、1昼夜くらいは水中に漬けておいてやらなければ、花を包んでいる萼の先が干涸らびてしまって、開くことができないのです。ようやくそのことが判りました。

あのままにしておいたら枯れただけ、蕾が緑を取り戻していくのを、きさごの貝殻に活けて並べ、1週間眺めたので、供養にはなっただろうと、勝手に思うことにしました。

花泥棒よ、薔薇や百合は、手では折れません。欲しければ堂々と、鋏持参で行きなさい。但し君が逮捕されても当方は関知しないから、その心算で。