日曜日のカフェ

大量の書類に目を通す仕事が一段落したので、地下鉄に乗って買物に出かけました。近辺は5月祭の客でごった返しているので嫌気がさし、小石川まで行くことにしました。

後期高齢者になると、数ヶ月の間に生活が変わって、新しい買物が溜まるのです。食品ではまず、ドライフルーツやナッツの棚を探しました。1日2食と決めていたのですが、それでは胃腸にわるいとなって、おやつを食べることにしたら2kg太ってしまい、どうしても落ちません。甘くなく、澱粉質でなく、しかし栄養があって、簡単につまめるもの―以前は酒肴だったナッツの役割が変わりました。美味しいものがあるとつい酒を呑むので、粥食用のおかずに茗荷漬と、熱中症予防水のために桜花の塩漬を買いました。

2階の島村で、靴下や下着のほか、サンダルを物色。踵のあるつっかけは履けなくなったからです。一通り買物が済んだので、カフェで一服することにしました。アイスコーヒーのグラスの背が高くて、危なっかしげに盆を運んでいたら、隣席の若夫婦が手を伸ばして受け取ってくれました。聞くともなしに聞いていると、親族とのつきあい方や何やかや、家では話しにくいことを、日曜日のカフェで意見交換しているらしい。いい知恵だな、と胸が温かくなりました。

ジャムたっぷりのフレンチトーストを食べ、学部時代にこの辺にあった喫茶店を思い出しました。国語学のゼミを1回だけ喫茶店でやったことがあった気がするのですが、何故だったか思い出せません。あの店で恋人を7時間待った、と話す同級生がいて、その人とは駄目だよ、と思ったけど黙っていました。私自身は、初恋の人と待ち合わせた時、彼は人目の少ない2階へ上がり、私は相手がすぐ見つけられるように1階に座っていて、とうとう会えなかったことがありました。縁がない人なんだな、と思って諦めました。