アスリートたち

このところ立て続けに、すごいアスリートたちを観ました。子供の頃病弱だったので、スポーツは出来ないし興味もなく、お天気屋の多い体育教師とはいつも反りが合わず、スポーツには殆ど憎悪を抱いていたのですが、純粋に観客となってからは、それなりの感懐を抱いて観ることができるようになりました。

イチローはまさに「平成」のスターでしたね。彼のデビュー当時、私は名古屋にいたのに、後年こんなに騒がれるとは予想もしませんでした。しかし振り返れば、彼はいかにも日本人らしいスポーツマンです。努力の人、全体のために労を惜しまない人、そして大きなトラブルを起こさずに引退までやって来ました(結婚式の余興などによく呼ばれるそっくりさんがいましたが、これで失業です)。

羽生結弦が、大会最後に出たライバルの得点を見ている時の目は、凄絶でした。今までにこにこしながら最高点を出して来た好青年の目とはまったく違っていて、追われながら追う位置に立った、戦士がいました。無理するなよ、と言ってやりたくなりましたが、余計なお世話でしょう。

白鵬もまた、追われながら自分の目標を追った15日間。結びの横綱同士ががっぷり組んだ一番は、これが相撲だ、というものでした。突き相撲だけで大関になったら、苦しむだけではないかしら。余計なお世話でしょうか。

最後に選抜高校野球2日目。鳥取代表の米子東(地元では「べいとう」と呼びます)の主将は、顔を洗うように流れる涙の中から、あかるく「光栄でした」と言い切り、これこそ高校野球だ、と頷きたくなりました。

勝者がいれば敗者もいなくてはならない。みんな自分の立場を貫徹した人たちでした。