酒呑童子

根津美術館の企画展「酒呑童子絵巻」を観に行きました。その前に大学図書館へ寄って、雑誌論文を数本(明徳記、慈円世阿弥若山牧水など)読み、昼食を食べ損なったので腹ぺこでした。

有欠本の室町絵巻(16世紀)と、伝狩野山楽筆の3巻本(17世紀)と、住吉弘尚筆8巻本(19世紀)と、伊吹系の酒呑童子絵巻3種が並んだ企画展示は圧巻でした。室町の絵はどことなく愛嬌があって、鬼に情が移りそうでしたし、狩野派の四季の庭が美しく、また8巻本には酒呑童子の生い立ちが詳しい。伊吹明神の子なので、酒乱が昂じて鬼になったのだという設定です。ふと、蛇はほんとに酒好きなのだろうか(どうして伝承では、うわばみと酒が結びつくのか?八岐大蛇以来?)という疑問が浮かんできました。呑ませた実験はあるのでしょうか。

カフェで軽食を摂ろうと思ったのですが、混んでいてカップルの合間の席しか座れない。やむなく入り口前の席に座って、ホットサンドと珈琲を頼みました。風が入って寒いので、暫くして空いた席へ移り、サンドイッチをぱくつきながらふと隣席のカップルを見ると、男性には見覚えがある(近世の草双紙が専門)。こちらを知って素知らぬふりをしているのかな、と思いましたが、どうもほんとに気づいていないらしい。2人は会話がはずみ、そのうちプレゼントを交換し、いい雰囲気になっています(そう言えば明日はバレンタインでした)。迷いましたが、立ちがけに「こんにちは」と言ったら、あちらは仰天。さっさとレジへ行き、「ごちそうさま」と言って(勿論、レジ係にです)、出ました。振り返ったら、彼から最敬礼されていました。

酒呑童子の展示は17日まで。