相撲医

初場所がやっと終わりました。横綱が1人引退し、2横綱が休場、ふがいない場所のようでしたが、こうでもないと若手が頭を出せなくなったと思えば、それなりの楽しみ方も見えてきます。しかし、全く素人の私が観ていても、突き押し相撲ばかりで、負け方にも勝ち方にも豪快さがない。上位昇進の条件に、勝ち星数だけでなく、そのうち何番かは組み相撲であること、という項目を加えて欲しいと言いたくなります。

引退した日本人横綱は、自己責任とはいえ気の毒でした。もう、スポーツとしての相撲に国籍を言うのはやめようじゃないか、国際的スポーツになったのだから、外国も出身県の一つ、くらいに考えたい、と思います。横綱の国籍にこだわるのは、競馬(くらべうま)と共にかつては神事だった歴史が影響しているからでしょう(両国の建物の名が国技館だから、なんかではありません)。その上、近代でも男子2世代間のスキンシップの代表が、キャッチボールと並んで相撲であることも無視できないかも知れません。しかし、東北大地震の後、白鵬が土俵入りする自分を拝む東北人たちを見て、日本人にとっての相撲の意味を理解した話は有名です。その瞬間、白鵬の国籍は関係なかったはず。江戸歌舞伎の役者が東京五輪に合わせて襲名する話が出ましたが、今さら、来年夏場所の土俵入りには云々のつまらぬ取り沙汰がありませんように。

それにしても、場所途中で怪我をする力士が多すぎる。柔道やフィギュアスケートには、専門の医師やトレーナーがいるのに、相撲医という専門家はいないのでしょうか。もっと科学的なトレーニングや、基礎的な身体作りのマニュアル化を、相撲協会も本腰を入れて考えるべきではないですか。国技というのなら、相撲医養成の奨学金くらい出してもいいかも。