実生の苺

この冬は初めに暖かい日が続いたせいか、我が家のベランダは暦が微妙にずれています。最後の薔薇の花はリルケの命日(12月29日)に間に合わず、今ごろようやく色づいてきました。菊の葉はきれいに紅葉せず、日々草が貧弱ながら未だ咲いています。順調なのは室内の胡蝶蘭。花芽がぐんぐん伸びてきました。贈って下さった方はもう亡くなりましたが、毎年咲いてますよ、と御報告できそうです。

英語では、草木を枯らさずに育てる才能を、「緑の親指」と言うのだそうですが、かつてはそう呼ばれた私も腕が落ち(指が弱り、と言うべきか)、最近では挿し木もあまり成功しなくなりました。菊の花弁を干してポプリを作ろうとしたのですが、黴が生えてしまいました。舌状花の根元に蜜がついているせいらしい。昔は菊枕というものがあったのに、どうやって作ったのかなあ。

ひとつ、楽しみにしていることがあります。梔子の根元に生えてきたものがあり、ミツバツチグリかヘビイチゴの種が鳥に運ばれてきたのだろうと思っていたのですが、どんどん大きくなる。そう言えば、スーパーで買った苺のパックの中に、熟れすぎて種が黒くなった粒が混じっていたので、埋めてみたのを思い出しました。苺も実生で増やせる(普通は、ランナーと呼ばれる走り蔓で増やします)、但し種が黒くなるまで熟していなければいけない、と何かの本にあったのを読んだからです。

我が家で買う苺はとちおとめ(栃木県産だから。やむを得なければ福岡県産のあまおう)と決めているので、もし実ればとちおとめのはずです。春が待たれます。