エスカレーター

JRが、エスカレーターは歩かずに、というキャンペーンを始めたとのニュースを知って正直、今頃かよ、と思いました。稼働しているエスカレーターを歩いて昇降する人のために片側を空けておく、という慣行は、1970年代に大阪から始まったそうですが、当初から私は(その頃は未だ元気だった)、疑問に思っていました。

歩いて昇降できるならエスカレーターは要らないはず、と先発世代は思ったのですが、エスカレーターがあるのがすでに当たり前の世代は、急がない奴は道を空けろ、という考えだったらしい。文部広報に、エスカレーターの片側を空けないのは思いやりが足りないというコラムが載ったり、かの英国では鞄を脚の前に置き云々という、まさしく「坂先出羽守」的説教が大新聞に投稿されたり、形勢は全く不利でした。

実際に、1人乗りのエスカレーターで背後から押しのけられたり、すれ違う大きな荷物に引っかけられたり、怖い目にも遭いました。その後加齢と共に歩行が不自由になってくると、利き足側に寄れず、ベルトが掴めない時や、昇降時に杖を持ち替えなければならない時など、危険は現実になってきました。関西では空ける側が逆なので、駅周辺ではまちまち。運ぶ人数は半分、ばかばかしい慣行だと、ずっと思っていたのです。

メーカーは、そもそもエスカレーターは歩くことを想定して造ってはいない、と言っているそうです。この度のJRの呼びかけは、パラリンピックを意識してのことらしい。東京五輪以後、合理的な慣行が根付くことを期待しています。ちなみにキャリーバッグの正しい扱い方も、徹底して欲しい。エスカレーターから降りる際は、自分の身体に引きつけて手で持つのが原則。後ろへぐっと押し出して歩き出す人が、けっこういます。怖い。いざという時、自分の手で持ち上げられる大きさ・重さにしておくのも常識でしょう。