過少申告

数字が大きすぎてぴんとこない、自動車会社トップの不正。最近は、CEOと社長と会長と代表権のある何とやら・・・と、誰に最高責任があるのか、外部からはよく分からない組織が多くなりました。私に違和感があるのは、あの会社の社長がしゃらっと、記者会見で、会長(未だ解任されていない)の不正行為を指摘したり、中には笑みを浮かべながらTVカメラに向かって説明する日本人役員もいること。会社の公式サイトも見ましたが、まるで他人事のような説明です。

役員報酬が多すぎるかどうか、どういう基準であれだけの高額が決まったのかはまた別の問題。さしあたってのポイントは、かの会社の有価証券報告書が5年に亘って虚偽のものであったこと、役員が不正に会社の金を支出させていたこと、そしてそれらを他の役員たちが黙認していたこと(金庫から手づかみで給与を持ち出すわけじゃあるまいし、取締役会で決めた役員報酬額と報告書記載額とは、複数の人が知っていたはず)でしょう。つまり株主と社員たちを騙し、金銭的な公私混同が、全社的に行われ続けたことになります。

ならば現在の社長も役員たちも、沈痛な面持ちで報道の前に現れるのが、まっとうではないでしょうか。株主にどんな顔向けをするのか、人員整理した元社員たちに、現在の役員報酬を含めた「コスト」をどう説明するのか。

思うに2003年、負債が解消された時点で、辣腕の経営者は、己れの退き際をどこにするか、イメージすべきでした。周囲の役員たちに、そういう環境を作っていく覚悟を持つ人がいなかったことが、気の毒といえば気の毒です。

なお新聞の解説によれば、所得税過少申告の時効は7年なんだそうで、日本国の税はきちんと追徴つきで、元会長から徴収できるらしい。財務諸表にはどう記載し、法人税はどうなっていたのかなあ。