秋田の餅

京都行きの切符を買いに、東京駅へ出かけました。『太平記』のシンポジウムを傍聴するためです。外人が多く、みどりの窓口は混んでいました。30分ほど並んで切符を買い、通路脇にある紀ノ国屋で、地方名産品を物色しました。どこも地下興しで、さまざまな「特産品」を開発しています。山形の桜桃ジャム、秋田の蕗味噌、茨城のオレンジピールクッキーなどを買ってみました。

こないだ行ったばかりの秋田の名産品が、目につきます。秋田駅で最後に、財布のコインを数えながら買ったバター餅(たしか5個入り¥128だった)は、立派な三角形に切り揃えられ、袋入りで売っていました。仏供用にごまもちと、カントという焼き菓子とを買い、ふと見ると、「つるのこ餅」というものがある。郷里の博多にはマシュマロの「鶴の子」という銘菓があるので、目に止まりましたが、単なる卵形の紅白の餅らしい。秋田は餅が自慢なのでしょうか、ちょっとむっとしました。

帰宅後、茶を淹れてごまもちを試食しました。4.5cm四方くらいのパッケージに、「みち子の手作り」、「白神の味」、「ごまたっぷり」等々、キャッチコピーが多すぎる(近年は、大学教師もこういう宣伝能力に敏感にならざるを得ないのです)。薄い、真っ黒な、うす甘い餅で、たしかに胡麻の香りがよく、美味しかったのですが、ごりごりする黒豆が2粒入っています。この厚みなら豆は柔らかくした方がいい、ごりごり感がウリなら、餅にもっとボリューム感が欲しいところ。商品開発もたいへんなんだなあ、と同情しました。