コンポート

ラフランスのコンポートを作りました。かつては高級果物だったラフランスも、最近は百均やスーパーに安く出ていることがありますが、表皮の色は熟しても、剝いてみるとがじがじ、馬鈴薯のようだったりする。ああ、安物買いの銭失いをしてしまった、と落ち込みます。我が家では、「安物買いの銭失い」は最も軽蔑される評言だった(我慢していい品を買え、が鉄則)ので、今でも悄然とするのです。

子供の頃、洋梨と黄桃とパイナップルは、甘く加工した缶詰でしかお目にかかれませんでした。生で食べてみたいなあ、というのが念願だったので、国産のラフランスが手の届く値段で店に出るようになった時は、一気に富裕になった気がしました。

今朝も食後に1箇剝いてみたら、大根同然。やむなくざく切りして、洋酒のクアントロの残りと一緒に煮ました。小ぶりのラフランス1箇に、砂糖9g、クアントロは小瓶4分の1(大匙1杯)くらいです。上出来でした。もう呑めなくなった強いウィスキーなどは、今後はこうして使おう、と思いながら、いそいそ蓋物に移し、お茶請け分は倉吉の上神焼の杯に盛りました。辰砂の紅がきつすぎて酒を呑むにはちょっと・・・という杯なのですが、半透明のコンポートにはぴったりです。渋茶の湯呑みと朝刊を携えて、ソファに沈んだーこれが想い描いていた老後に近いーのですが、仕事の問い合わせメールに呼ばれ、調べ物のノートを引っ張り出し、はや半日が過ぎていきます。