果物王国

後輩から手摘みのブルーベリーを1籠頂きました。定年後の夫が、屋敷内で育てたから、とのことです。輸入物が多くなって、年中見かけるブルーベリーですが、やはり摘みたては、口に入れると果実が話しかけてくるようです。

追っかけて、長野の友人から、「黒姫高原のブルーベリージャム」を頂きました。遠縁が栽培している果実を、加工販売する業者に委託した品だそうです。ブルーベリージャムもピンからキリまで出回っていますが、これはフルーツソースにコンポートが浮いている、といった感じで、パンやクラッカーに載せるのではなく、ヨーグルトやレアチーズケーキにかけるのに向いています。

ブルーベリーは眼にいい、というので流行っているようですが、じつは根拠のない話らしい(一般的な老化に抵抗する成分は、あるそうですが)。どうやら、果実の形が眼球に似ているからではないかと思っています。石榴が婦人病にいい、という話も、形態が子宮に似ているからだそうで、健康伝説は案外素朴なものですね。

今夏は、おかげさまで我が家は果物王国でした。1瓶180g入りのフルーツゼリー(暑い日の昼食代わりに)とか、上高地産のフルーツジュース(さすが味に気品がある)とか、福岡の巨峰、宮古島のマンゴー、鳥取の梨・・・各地の珍しい品を贈って頂き、堪能しました。

これまでで一番美味しかった果物は、50年前、インドで暑い道を歩き回った後、ホテルのバイキングランチで食べたフルーツサラダです。パパイヤやマンゴーなどをざくざく切って、レモンをかけ、冷やしただけのシンプルなものでしたが、帰国の飛行機で、ああ、あれはもう日本では食べられないなあと名残り惜しく思いました。当時は、国内でトロピカルフルーツを生食できるなんて、思いもよらなかったのです。